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◆☆ みどり合同経営 メールマガジン
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◆☆◆☆◆☆ 2016年7月8日号
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<新連載>
■ 事例からみる「中小 B to B 企業のマーケティング」
第1回 取引先への依存度管理の重要性
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新連載: 事例からみる「中小 B to B 企業のマーケティング」
第1回 取引先への依存度管理の重要性
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みなさん、こんにちは。
今回は連載第一回のテーマとして「取引先との依存関係」について、
実例を交えながらお話します。
私がお手伝いさせて頂いた中で、「B to Bマーケティング」の重要性を
初めて感じたのが、X社の事例でした。
X社は、電子回路の基盤を製造する製造業です。
賃加工の様態を主とする中で、最盛期には、大手家電メーカーP社の
仕事を中心に、3億円規模の売上を保持しておりました。
長年P社の仕事を続けていたため、X社はQCD(品質、費用、納期)の
徹底が根付いており、特に品質については、X社の強みでもありました。
しかし、大手家電メーカーの多くがそうであったように、P社は生産の
メインを海外へ移管することを決定、X社の売上は当時の3分の1程度まで
減少してしまいました。
その後、他社からの受注確保に注力した結果、X社はP社に代わり、
LED照明を主力とする完成品メーカーY社からの受注に頼ることとなり、
気付くと今度はY社が売上のおよそ8割を占める状況となっていました。
依存度は高くなればなるほど、製品開発や営業活動に必要な経営資源が
特定顧客に向けて利用され、他の顧客や他の製品分野のために経営資源を
振り分けることが難しくなります。その結果、依存度はスパイラル的に
増進してしまうのですが、まさにX社もその状況に陥ってしまっていた
のです。
そんな折、今度はY社が、それまでX社に依頼していた加工を自社で
内製化することになり、X社の売上はまたもや激減してしまったのです。
弊社が初めてX社にお邪魔したのは、ちょうどその頃でした。
X社がとても誠実に、顧客の要望に最大限応えようとしてきたものの、
最後は海外移管や内製化で取引が大幅に削減されるなんてひどい・・・
というのが新入社員であった私の率直な感想でした。
とはいえ、B to Bマーケティングの視点から考えてみると、
X社の反省点も浮かびあがります。
B to Bマーケティングには、マーケティングの観点が2つあります。
1つ目は既存顧客との「関係」、2つ目は新規顧客を対象とした「市場」
になります。
まず、「関係」マーケティングの視点ではX社はどうだったでしょうか。
ここではY社との関係を中心に、X社と議論した3つの反省点をご紹介した
いと思います。
1) 特定顧客への依存度管理が不十分だったこと
いったん依存度が高まると、それがスパイラル的に増進してしまうことは
先にも記載した通りです。X社では気づくと売上の8割をY社へ依存して
おり、途中で新規開拓等の対策を打てなかったことが、結果的に危機的
状況を引き起こしてしまったと言えます。
2) 得意先の購買戦略や距離感の読み違いがあったこと
そうはいっても、特定顧客に売上高の7~8割を依存しているという中小
企業は少なくない中で、全ての企業がX社のような事態に陥ってしまう
わけではありません。
ようは相手との関係性の問題ということだと思います。
Y社からは「X社の代わり(内製含め)はある」と考えられており、
そこにX社の距離感の読み間違いがあったと言えます。
3) 得意先製品の市場動向の調査不足
仮に、Y社の主力製品であるLED照明の需要が拡大していれば状況は違った
かもしれません。しかし、LED照明の市場がある程度成熟してきた中、
Y社でも内部人員が余るようになり、内部人員を遊ばせないためにも、
Y社が内製化に踏み切ったという経緯があったのです。
X社では、そのような市場動向の把握という観点がありませんでした。
その後、X社では、既存顧客との関係をマーケティングとして捉え、
依存度管理や相手との距離感の把握、顧客の主力商品の市場動向など、
幅広く情報収集していく重要性を感じ、弊社もそれを実行に移していく
お手伝いをさせていただいています。
具体的には、月次の売上高を顧客別に集計し、依存度がどう推移している
のか、相手にとって自社以外の相手がどの程度いるのかなどを、日々の
業務の中で意識して管理していくということです。
そして、X社では、既存顧客への依存度を下げるべく、新規顧客に目を
向けた「市場」マーケティングにも取り組んでいます。
第二回では、X社の事例をもう一つの観点である「市場」マーケティング
から見ていきたいと思います。
執筆者:宮崎 知世
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/miyazaki/