工場の生産工程は、「ふたを閉めてスイッチを入れたら、予定の時間に計画し
た量だけおいしいごはんが炊き上がる」というような単純なものではありま
せん。
お客様の求めるいろいろな種類の注文、納期、コストに工場の持つ技術・ノ
ウハウを駆使して対応しなければなりません。しかも、他社との競争、海外
との競争にさらされ、お客様の要求も厳しくなるばかりです。そのため、工
場の責任者は日々悩んでいるのです。
■工場でよくあるいろいろな問題
・現場の整理整頓が行き届いていない。
・不良品が発生する。
・計画通りの生産ができていない。
・納期に遅れる。
・設備の故障やライントラブルが起こる。
・生産コストが下がらない。
読者のみなさんの工場でもこのような問題が生じていますでしょうか。
■生産管理とは
このような問題を解決するのが、生産管理です。
生産とは、「所定の品質・コスト・数量の製品を所定の期間に製作すること」
です。つまり、求められる品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)
を満たすことが必要です。そして、生産管理とは、このような生産活動を計
画・調整して最適化を図ることなのです。
ラーメン屋でも、おいしくなければお客様は来てくれませんし、価格が高す
ぎても、待ち時間が長すぎてもお客様は満足してくれません。つまり、生産
管理とは、工場のいろいろな問題を解決して、おいしくて安くて早い商品を
つくるために役立つものなのです。
■生産の要素とは
そして、その生産活動は、人(Man)、機械(Machine)、材料(Material)、
作業方法(Method)から構成されます。料理で言えば、経験豊富なシェフ、
良く切れる包丁や手入れの行き届いた鍋、安くて新鮮な素材、そして調理方
法ということですね。これらを工夫することで、「おいしく・安く・早い」が
実現できるのです。
■生産管理のいろいろな手法
QC活動、JIT、かんばん方式、シックスシグマ、TQC、TPM、TO
C・・・・読者の皆さんも、このような名前を聞いたことがあると思います
し、取り組んでいらっしゃる方もおられると思います。多くの会社が工場の
問題を解決するために、このような改善活動に取り組んでいます。
これらは、とても効果的な手法ではありますが、この手法を導入しなければ
改善できない訳ではありませんし、導入した工場がすべてうまくいっている
訳でもありません。
大切なのは、生産管理の考え方をきちんと理解した上で、手法を上手に使う
事です。
今回のシリーズでは、読むだけで生産管理の考え方が理解でき、「やってみよ
うかな」と思っていただけるように、テーマごとに、基本的な考え方と実践
事例をご紹介してまいります。次回から具体的なテーマに入っていきます。
お楽しみに。
執筆者:
澤田兼一郎(中小企業診断士)、犬飼あゆみ(中小企業診断士)
執筆者ご紹介 → http://ct.mgrp.jp/staff/sawada/
http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/
アドバイザー:
MABコンサルティング 中小企業診断士/一級建築士 阿部守先生