第2回 生産性を上げるために

前回は、生産工場の悩みについて考えてみました。 今回は、生産性を上げること
を考えてみましょう。

■生産性とは
「生産性」とは、投入量と産出量の比率で、それによって生産現場の効率を表
すことができます。投入量に対して産出量の割合が大きいほど生産性が高くな
ります。一般的には、従業者数を投入量とし、生産数量(または金額)を産出
量として測った「労働生産性」を指します。しかし、パート作業者さんが多い
現場や残業が多い現場、掛け持ちでいろいろな仕事をする方の多い現場では、
従業者数を用いると正確に評価できませんから、投入量に作業時間を用いて生
産性を確認すると良いでしょう。

つまり、
生産性=「生産量(または金額)」/「作業時間」
ということになります。

■生産性を上げる方法 では、生産性を上げるためにはどうしたら良いでしょうか。
生産性を上げるためには、産出量を上げるか、投入量(作業時間)を減らすし
かありません。売上が伸びている時期は、投入量の増加を抑えながら産出量を
増やせば、生産性は向上します。しかし、売上が伸びない時はどうすれば良い
のでしょうか。工場の生産量は、お客様からの注文量によって決まりますから、
必要以上に製品を生産しても無駄になるだけです。この場合は、生産性を上げ
るためには作業時間を減らすしかないのです。

具体的に生産性を上げるための手順について考えてみましょう。

(1)現在の生産性を確認してみましょう。
みなさんの職場が工場であれば、月間や週間の生産数は把握されているはずで
すし、作業時間も記録されているはずです。まずは、現在の生産性を確認して
みましょう。産出量は、生産数量でも良いし、生産金額でもかまいません。ま
ずは、現状を把握することが大切です。そして、可能であれば、過去との対比
をしてみましょう。どうでしょうか、生産性は上がっていますか?このように
生産性に関心を持つことが生産性を上げる第一歩です。

(2)作業の内容を見直してみましょう。
現在の生産性が分かれば、それを上げる方法を考えましょう。今回は、需要が
一定だと仮定して考えます。そうすると、生産性を上げるためには作業時間の
短縮が必要になりますね。とはいっても、急いで手を動かしましょうとか、走
って移動しましょうということではありません。作業の中身をチェックして、
価値を生まない間接作業の削減を考えましょう。

間接作業とは、段取りや運搬、積み替え、手待ちなどで、それ自体は価値を持
たない作業のことです。原材料への加工や塗装などは製品に価値をつける作業
ですが、工場内での運搬は生産上の都合で行っているだけで、製品への付加価
値は生みません。ですから、いつも何気なく行っているすべての作業を良く見
て、価値を生まない作業をリストアップしてみるのです。でも、これはとても
難しいことです。なぜなら、働いている人で、自分が今やっている作業を価値
が無いと思って行っている人はいるはずがないからです。

ですから、作業時間の短縮に取り組むためには、冷静にその作業は必要か、も
っと短縮できないか、という視点で見ることが大切です。無駄な作業が見つか
っても、いろいろな制約条件のもとで生産を行っている訳ですから、すべてを
無くすことはできないでしょう。何を減らせるか、どうやったら作業時間が短
くなるか、みんなで検討してみましょう。少しでも間接作業を無くすことが出
来れば、確実に生産性が上がっているはずです。
次回は、この考え方で生産性を倍にした工場の取り組みをご紹介します。

執筆者: 澤田兼一郎(中小企業診断士)、犬飼あゆみ(中小企業診断士)
執筆者ご紹介 →
http://ct.mgrp.jp/staff/sawada/
http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/

アドバイザー: MABコンサルティング 中小企業診断士/一級建築士 阿部守先生

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