第11回 外注管理で大切なこと

前回は、生産計画の立て方を改善して在庫を減らしたA社の事例をご紹介
しました。
今回は、外注管理で大切なことを考えてみましょう。

■外注とは
 大企業はもちろんのこと、中小企業でも多くの会社が、工程の一部や
大部分を他の会社に依存する形で経営を行っています。発注する側が
外注先に「このようなものを作って欲しい」と依頼して、その要求に応えて
物品が納入されます。一回の取引で終わることはまれで、繰り返して
取引が継続されることが一般的です。
 製造工場だけでなく、商業やサービス業でも外注は利用されています。

■外注利用の目的
 ではなぜ、自社で全ての工程を行わずに、外注を利用するのでしょうか。
それには、いくつかの理由があります。
(1)生産コストを安くするため(中小企業に単純作業を委託する場合
など)
(2)自社にない設備や能力を利用するため(メッキの外注など)
(3)社内の能力と負荷の調整弁とするため(季節的に需要変動が大きい
場合など)
 などが主な理由です。

■外注管理の注意点
 このような目的で、外注を利用しているのですから、外注先とは対等な
パートナーであり、自社工程の延長である、という意識で接することが大切
です。
ところが、発注者の中には、発注する側の立場を利用して、自社の都合を
無理に押しつける会社があります。また、長年の取引があるということ
だけで、客観的な品質評価や価格の見直しを行わずに、取引を継続している
会社もあります。

■外注管理のポイント
 外注管理において大切なのは、取引関係を一歩超えた信頼関係を築くこと
です。その上で、生産管理と同様に「Q:品質、C:コスト、D:納期」の
視点を大切にすることです。外注先と協力して、QCDのレベルを上げる
ようにします。これが、「自社工程の延長」という考え方です。

 具体的には、以下のようなことです。
(1)外注先のコスト削減や品質向上に関して指導・協力する。
(2)生産計画を早めに伝えるなど、外注先が生産性を高められるように
協力する。
(3)材料支給を行っている場合は、きちんと品質管理を行った材料を
支給する。

そして、外注工程に起因する品質不良が出た場合には、外注先だけに責任を
求めるのではなく、一緒に原因究明と解決に取り組むといったことが大切
です。

このような積み重ねが、外注先との信頼関係を築くことにつながり、
外注先のQCDのレベルを上げることにつながります。そして、
発注者にも利益をもたらすことになるのです。

 次回は、外注先の協力体制を構築してクレームを減らした会社の事例を
ご紹介します。

執筆者:
澤田兼一郎(中小企業診断士)、犬飼あゆみ(中小企業診断士)
執筆者ご紹介 → 
http://ct.mgrp.jp/staff/sawada/
http://ct.mgrp.jp/staff/inukai/

アドバイザー:
MABコンサルティング 中小企業診断士/一級建築士 阿部守先生

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